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弘前大学、「太宰治」で知名度アップなるか

弘前大学は高校生を対象とした地域探究論文のコンテスト、太宰治記念「津軽賞」第1回の受賞者を決めた。435件の応募の中から入賞19件を決定。参加者には記念品として、太宰の直筆ノートを複写したクリアファイル(写真)を贈呈した。

津軽賞(最優秀賞)の個人部門は、奈良県立郡山高校の石川朱澄さんが受賞した。奈良の帰化植物の植生調査と実験を通じて、地域の環境や風景のあり方を考察した。

太宰治は弘前大学の前身、旧制弘前高校の出身。弘前大は太宰の小説で紀行文でもある「津軽」に着目し、地域探究をテーマにコンテストを企画した。参加者には、高大接続を意識して2022年度から高校で必修となった「総合的な探究の時間」を活用してもらう。

実行委員会委員長の郡千寿子理事・副学長は「高校生が地域を見つめて挑んだ軌跡に勇気づけられた。教員15人ほどでの審査は大変だが、夏休みを活用した次の挑戦を楽しみにしている」と語った。

日刊工業新聞 2023年03月02日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
正直にいって高校生のうち、弘前大学が何県にあるかを知っている割合は、かなり低いのではないかと思う。同大は青森県弘前市にある伝統ある国立大学だが、県庁所在地の青森市でないこともあり、一般にはあまり知られていない面がある。対して太宰治は教科書でも扱われて知名度抜群だ。同大はここに目を付けてコンテストを企画。「津軽」という県の西側の地域名&太宰の作品名を絡ませた上で、全国規模で応募を呼びかけた。果たして応募435件のうち、青森県内は59件とごく一部。上位は中部124件、四国103件となった。遠方を含め、それなりの数の高校生が同大を知ったわけで、同大関係者は「その先にぜひ受験を…」と心待ちにしていることだろう。

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