地域の中核になる大学を支援する文科省、振興策が手厚いそ!

  • 2
  • 5

起業家育み新産業創出

文部科学省は2022年度に地域の課題解決や経済発展に寄与する地域の中核となる大学の振興に注力する。内閣府の「地域の中核となる大学振興パッケージ」と連動し、産学官連携や新産業・スタートアップ創出などに取り組む地方大学を支援。22年度予算の概算要求で関連予算を大幅に増やした。各大学は手厚い支援を基にした成果を出すことが求められる。(編集委員・山本佳世子)

近年、国の地域振興の一つとして「知と人材の集積拠点」である大学を核とした産学・地域連携へ期待が高まっている。内閣府が21年度内に策定する地域の中核となる大学振興パッケージの案では(1)経営層など大学マネジメント人材の確保(2)戦略的運営に伴走する政府体制(3)支援事業の大くくり化(4)複数大学の連携―が挙がっている。対象の大学は国公立・私立を問わない。文科省も各局でバラバラに進めていた事業をまとめて対応する。

この内閣府の方針に連動し、文科省では22年度予算の概算要求で事業の拡充と予算の増額を盛り込んだ。

その一つ、大学発新産業創出プログラム(START)の「大学・エコシステム推進型」は24億円を要求。21年度当初予算は7億円だった。内閣府が選定した八つのスタートアップ・エコシステム拠点都市にある大学で、起業家精神(アントレプレナーシップ)を持つ人材の育成や、スタートアップ創出の支援を行う大学を後押しする。

また、新規に「全国アントレプレナーシップ醸成促進事業」を始める。国内外の教育プログラムの調査や、「受講者のその後など効果を検証する指標の開発」(科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)を1機関程度に1億円で委託し、5年で実施する。

求められる成果

もう一つの柱である「共創の場形成支援」では175億円(21年度当初予算は137億円)を要求。21年度で終了する大型産学官連携事業「センター・オブ・イノベーション(COI)」の成功モデルを参考に、新たな地域共創を推進する。

新規の地域活性化人材育成事業「SPARC」は28億円を要求する。大学間連携、分野融合、高大接続、社会人教育など近年の改革テーマを総動員することで「地域産業を大学の力でリノベーションする」(高等教育局大学振興課)のが狙いだ。

少子化の影響を受ける地方大学は、生き残りをかけて独自の強みや特色を前面に出す戦略を取っている。国の戦略はこうした動きを捉え、大学を地域振興に参画させ、その地域を活性化させる“一挙両得”を狙うものだ。支援を強化する一方で、大学には確実な成果を出すことが求められそうだ。

日刊工業新聞2021年9月2日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

「政策パッケージ」がこの1.2年で花盛りだ。各省庁・局・課が個別に支援を打ち出しても効果は今ひとつ、それよりも内閣府リードによってまとめて力を出そうという転換だ。若手研究者支援しかり、産学連携しかり、この地域中核大学しかり。大学と官庁側のコミュニケーションも、大学が目指す全体の方向性と、それに適したパッケージの中の施策組み合わせという形で進めることになる。大学側はこれまでと同じノウハウではいかないことに、注意が必要だ。

関連する記事はこちら

特集