ニュースイッチ

競争率5倍の「地域中核大学イノベ事業」、採択された北大・広島大のスタンスは?

内閣府は2022年度新規の「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」の採択を決めた。北海道全体の大学連携構想を掲げた北海道大学は、地域中核大学のモデルと期待され、配分額は本年度3億円とトップだ。徳島大学は四国・関西の広域オープンイノベーションの構想が評価されて2億円。広島大学は広島地域の半導体、街づくり、平和の構想が認められ2億円となった。

この事業は大学の自治体・地域産業との連携を、使途自由の交付金で支援するもの。採択大学は「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」のリーダー格ともいえる。申請は49大学、うち私立が8大学。採択は国立のみ11大学で競争率は4・5倍だった。

1億5000万円支援の弘前大学は、健康ビッグデータの産学連携で高い実績が評価された。富山大学は地場産業の製薬とアルミニウムに焦点を絞った地域振興だ。

その他は1億円。豊橋技術科学大学は高等専門学校を基盤とした実学中心の広域ネットワークがコンセプト。東京農工大学は補助金に頼らない農林産業モデルの構築が目を引く。岐阜大学は医獣薬一体型非臨床研究センター整備でライフサイエンスに注力する。信州大学は農と食、材料で地域連携を強化。神戸大学はライフサイエンスでの神戸市との連携実績をさらに伸ばす。島根大学は国立大特例の定員増につながった材料エネルギーに特化した構想となっている。

関連記事:競争率5倍、多くの大学の関心が向かう内閣府「地域中核イノベ事業」の魅力

日刊工業新聞 2022年10月13日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
競争率5倍弱という人気の同事業。採択大学は、地域中核の総合パッケージの中のリーダー格といえる。その意味で私が注目したのは北大と広島大だ。というのは両大学は研究大学としての色も強く、「10兆円ファンドの国際卓越研究大学への応募もあるか、どうか?」と想像する対象だからだ。今回の応募そして採択(大半の案件が1億円支援だが、北大は3億円とトップ、広島大は2億円でもある)を考えると、両大学は「地域・ブロックの中核として進んでいく!」と、スタンスを表明したのではないかと感じる。同様に神戸大学や東京農工大も応募・採択されており、「東京農工大は国際卓越研究大学に食指を動かしていたけれど、どうなったのだろう?」など、気になるところだ。

編集部のおすすめ