ニュースイッチ

トヨタが支給材価格据え置き、流通業者から漏れた声

来年度上期、原料・エネ価格考慮
トヨタが支給材価格据え置き、流通業者から漏れた声

日鉄の薄板熱延ライン

トヨタ自動車は、系列部品メーカーに対して2023年度上期(4―9月)に供給する自動車用鋼材(支給材)の価格を、22年度下期(10月―23年3月)から据え置くことを決めた。据え置きは21年度上期以来となる。鉄鉱石や原料炭といった主原料価格や、エネルギー価格を考慮したもようだ。据え置きにより、市中の鋼材価格の上昇基調が、落ち着く可能性もある。

鉄鉱石は22年10月―23年3月の契約価格の平均値を、原料炭は22年7―12月の契約価格の平均値をそれぞれ参照したようだ。該当期間は鉄鋼需要が落ち込んで価格が下落した。だが、エネルギーなどの諸コストが上昇しており、主原料に関しても昨今では中国経済への期待などから上昇に転じていることから、据え置きを決めたとみられる。据え置きにより、代表品種である熱延コイルの価格はトン当たり15万6500円程度と、22年度下期と変わらない。

トヨタの支給材は半年ごとに価格が見直される。トヨタは調達力を生かし、日本製鉄などの鉄鋼メーカーと交渉した上で鋼材を集中購買し、系列の自動車部品メーカーに割安な価格(支給材価格)で卸している。

支給材の価格は、取引量の多さから今後の相場に大きく影響する。関東の流通業者からは「店売り相場における価格推移は落ち着きそうだ」や「値下げしなかったことで、市況の押し下げ要因にならず、ほっとしている」との声があった。


【関連記事】 トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」
日刊工業新聞 2023年03月07日

編集部のおすすめ