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トヨタ系部品メーカーが用途開発進める「リチウムイオン電池」の特性

トヨタ紡織が電動車の補助電池などに提案
トヨタ系部品メーカーが用途開発進める「リチウムイオン電池」の特性

自社工場で使用する無人搬送車(AGV)に電池を搭載してデータを収集している

トヨタ紡織はリチウムイオン電池(LiB)の用途開発を進める。急速充放電が可能で一定時間高い出力を維持できる特性を生かし、発進時に高出力が求められる電動車の補助電池などに提案する。これまでは高級スポーツ車や空飛ぶクルマなど用途を限定していた。用途開発の拡大をにらみ、本社(愛知県刈谷市)の試作ラインを増強。2022年度中に生産能力を現状の数倍に高め、23年度も追加で増産を検討する。

電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などの電動車は、発進時などに必要な出力を確保するために電池容量を大きくする傾向にある。発進時の出力を同社の電池で補うことで、メーンの駆動用電池を小型化できる。

同社の電池はラミネートタイプで小型・薄型なのが特徴。駆動用電池の容量を抑え、同社の電池を補助電源として搭載すれば、電池の総重量を減らせる。電池重量の抑制で車両の軽量化につながり、EVの航続距離を伸ばせるとみる。

また、急速充電も可能で、一般的に30―50%程度しか回収できないブレーキ使用時の回生エネルギーをより多くためられるという。

当初は年間1000個の生産計画だったが、現状は良品率を向上しながら最大で1日当たり数百個の生産が可能になった。用途開発を進めるにあたり、顧客へのサンプル出荷が増えることから試作ラインの増強を決めた。

トヨタ紡織のLiBはハイブリッド車(HV)用電池並みの容量とキャパシター並みの出力特性を持つ。微細繊維技術を活用したセパレーターと精密プレス加工技術を活用した電極などが特徴で、シート関連部品の製造で培ったノウハウを応用した。


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日刊工業新聞 2023年1月19日

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