次世代半導体材の研究開発を加速、三菱ケミカルグループが一手
三菱ケミカルグループは2023年中に半導体の国際研究機関imec(ベルギー)で次世代半導体材料の開発を始める。imecの持つ豊富な設備を活用する。imecでの取り組みを含め研究開発を加速して新製品を育成。既存製品の増産も進め、30年度に半導体関連事業で売上高2000億円(21年度比2倍)を目指す。
回路微細化をはじめ半導体の将来技術ロードマップの実現に向けて、三菱ケミカルグループの技術が貢献できる分野を幅広く探索する。imecがコンソーシアム(共同事業体)などで取り組む研究開発プロジェクトとも情報共有を検討する。
三菱ケミカルグループは国内外で半導体材料の研究開発を強化する。国内では半導体材料関連の3拠点で評価設備を拡充する。台湾・新竹市では22年下期に新設した技術サービス拠点を活用し、顧客と密接な関係を築きながら新製品の開発を目指す。
同社は半導体材料として洗浄用薬液やフォトレジスト用原料(ポリマー)、製造装置の精密洗浄サービスなどを展開する。次世代材料では最先端の極端紫外線(EUV)露光に対応したフォトレジスト用ポリマーや「有機金属プリカーサー」などを開発している。ウエハー上の必要な場所にだけ非常に薄く成膜する材料で、現在の露光・現像と異なる次世代の回路形成技術に使われる可能性がある。
30年度の売上高倍増に向け、既存事業では精密洗浄サービスの拠点拡充や、フッ化アルゴン(ArF)光源レジスト用ポリマーおよび洗浄用薬剤などの増産を検討。EUVレジスト用ポリマーや有機金属プリカーサー、パワー半導体用材料などの新製品群を売上高300億円に育てる。
化学業界では次世代半導体製造プロセスに対応した材料の開発や生産が相次いでいる。住友化学は大阪工場(大阪市此花区)でEUV露光向けフォトレジストの開発・評価体制を強化した。レゾナック・ホールディングスは最先端の半導体ロジックの回路形成工程で使われる「ナノセリアスラリー」の生産能力を拡大している。
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