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旭化成・三菱ケミカル…総合化学で業績予想の下方修正相次ぐ、「想定以上に需要減退」の声

旭化成・三菱ケミカル…総合化学で業績予想の下方修正相次ぐ、「想定以上に需要減退」の声

旭化成は23年3月期連結業績予想の売上高と各利益項目を下方修正した

総合化学5社の2023年3月期連結業績予想は、素材需要と市況の低迷が想定より長引くとの見立てから、東ソーを除く4社が売上高と各利益を下方修正した。全社が増収、三井化学を除く4社が前期比30%以上の大幅当期減益を見込む。

22年10―12月にかけ、世界経済はインフレや金融引き締めにより低迷し、素材需要や市況は悪化した。ディスプレー材料の低迷も長引いた。足元で主要市場である中国の景気回復期待はあるものの、厳しい事業環境は当面続くとの見方が大半だ。

旭化成は8日、23年3月期連結業績予想の売上高と各利益項目を下方修正し、当期利益を前回予想比590億円減の700億円(前期比56・8%減)とした。アクリロニトリルなどが下振れ、マテリアル領域の営業利益は前回予想の半分強の412億円を見込む。ヘルスケアの利益も下方修正した。「想定以上に需要が減退し、1―3月もこの傾向が続く。マテリアルの収益改善が課題だ」(堀江俊保取締役常務執行役員)。

住友化学三菱ケミカルグループは構造改革が一層利益を押し下げ、当期損益は売上高に対し1%未満という極めて低い水準を予想する。三菱ケミカルグループは英国での一部素材の生産終了などで1000億円以上の損失を折り込んだ。住友化学は構造改革費用や資産の減損損失として、当期損益予想に450億円の減益影響を折り込んだ。三井化学は基礎化学品の落ち込みが他社と比べ小さく、全体の当期減益幅も小さかった。

5社の22年4―12月期連結決算は需要減速を受け、全社が増収当期減益だった。


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日刊工業新聞 2023年02月09日

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