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みずほFGがブロックチェーン生かす、社債購入者に特典付与

みずほフィナンシャルグループ(FG)はブロックチェーン(分散型台帳)を用い、社債の発行企業が購入者にクーポンなどの特典を付与できるシステム基盤の提供を始めた。購入者から事前に同意を得ることで従来は困難だった購入者情報をデジタル経由で発行企業に提供可能。社債の発行企業が投資家と直接接点を持つことで、新たなマーケティング手段として活用できる。

新システムの名称は「デジタルエンゲージメントプラットフォーム」。投資家が証券会社を通じてネット経由で社債を購入し、同意をすることでブロックチェーン技術を通じて社債を発行した企業に購入者情報が提供される。

社債発行企業は、この情報を元に自社商品などの特典やキャンペーン情報を購入者に送ることができる。社債は従来、名簿で株主を確認可能な株式と異なり保有者情報を入手できない仕組みのため、マーケティングツールとして活用することができなかった。同システムの活用により、社債利息プラスアルファの価値を提供することで投資家との関係性をより深められる。

採用第1弾として、カゴメが21日に同プラットフォームを用いたデジタル特典付き社債「カゴメ 日本の野菜で健康応援債」を発行する。発行総額は10億円。社債購入代金は一口10万円。ネット経由で楽天証券を通じて購入した投資家に対し6種類の国際野菜を使った野菜ジュース「つぶより野菜」15本を提供する。これにより、カゴメの通信販売「カゴメ魅力直送便」の魅力を投資家に伝える。

将来は同基盤を通じて企業がデジタル社債を発行できる機能の搭載を目指す。


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日刊工業新聞 2023年2月16日

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