東芝は営業益4割減…電機メーカー8社の業績で分かれる明暗
東芝は、2023年3月期連結業績予想の売上高と営業・税引き前(参考値)・当期(同)の各利益を下方修正した。営業利益は22年11月公表比300億円減の950億円(前期比40・2%減)、当期利益は600億円減の1300億円(同33・2%減)。子会社ののれん減損、ハードディスク駆動装置(HDD)の市況変動影響と製品保証引き当てなどに、発電システムの製品保証引き当てが加わり、1000億円超の減益要因となる。
1000億円超の減益要因の内訳は、いずれも一時的だとしている。子会社東芝テックの株価低下を主因とするのれん減損は24年3月期も発生する可能性はあるが、発電システムの製品保証引き当ては「特定顧客の特定案件で他の案件に問題はない」(平田政善代表執行役専務)。23年3月期の減収・営業減益には、空調事業子会社が連結対象から外れたことも影響している。
22年4―12月期連結決算は、売上高が横ばいだが、営業・税引き前・当期の各利益が減益。発電システム事業は子会社のプロジェクト案件のコスト精査や製品保証引き当ての影響により、HDD事業はデータセンター向けなどの需要減少と製品保証引き当てにより、それぞれ営業赤字となった。半導体事業は好調だった。
電機7社通期増収 円安寄与、日立は最高益
電機8社の2023年3月期連結業績予想は、為替の円安の追い風もあり東芝を除く7社が増収となるものの、利益面では明暗が分かれる。コロナ禍や市況悪化といった環境変化への対応、個別の事業の環境などにより、各社の利益予想に差が生じている。原材料高騰や部品不足も各社の利益を押し下げる要因となる。
日立製作所は23年3月期連結業績予想の当期利益を上方修正し、過去最高となる前期比8・0%増の6300億円を見込む。ウクライナ情勢やコロナ禍、半導体不足などの事業リスクの見積もりを引き下げた。
三菱電機は工場自動化(FA)システムや電子デバイス事業が堅調。自動車機器も赤字幅を縮小し、当期利益は同5・7%増を見込む。富士通は欧州を中心とする海外の市況低迷を織り込んで営業・当期利益をともに下方修正したが、主力のシステム構築(SI)が収益をけん引。部材供給遅延も改善し、当期利益は前期比39・6%増となる見通し。
一方、パナソニックホールディングス(HD)は中国市況の悪化によるコンデンサーや産業用モーターの販売減、車載電池材料の高騰などが響き、営業利益が同21・7%減。シャープは液晶パネル事業が低迷し、営業損益が200億円の赤字に転落する見通し。営業赤字は16年3月期以来7年ぶりで、当期損益の予想は未定とした。
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