東芝買収へ最終提案、JIP連合が2.2兆円規模確保にめど
投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などの連合は9日、東芝に対する買収の最終提案を提出した。三井住友銀行などの金融機関から、買収に必要な資金の融資を受ける確約を得て、2兆2000億円規模の買収資金の確保にめどを付けた。
東芝は同日、「提案内容を精査した上で、株主をはじめとするステークホルダーの利益最大化に向けて行動する」とのコメントを発表。今後、社外取締役で構成する特別委員会と取締役会で、買収提案の受け入れについて議論する。
銀行側の融資をとりまとめる三井住友銀行が、JIPに総額約1兆2000億円の融資を確約する「コミットメントレター」を送った。三井住友銀行とみずほ銀行がそれぞれ5000億円前後を融資し、三井住友信託銀行、三菱UFJ銀行、あおぞら銀行も融資に加わる。融資の条件として、経営を監視する会議の設置や財務制限条項(コベナンツ)のほか、業績が悪化した場合に事業や資産の売却を求めることなどが盛り込まれているもようだ。
JIPはオリックスやローム、中部電力など約20社の日本企業から計1兆円規模の出資を集め、銀行融資と合わせて2兆2000億円規模の買収提案をしている。
今後、東芝側がJIP連合の買収提案の受け入れについて検討する。日本企業の連合による買収提案は原子力事業などを手がける東芝を買収する上で、改正外為法の審査などに有利に働くと見られている。
一方、時価総額約2兆円の東芝に対して、2兆2000億円規模とされる買収額では、買収に伴う株式公開買い付け(TOB)価格の上乗せ幅(プレミアム)が少ないとの見方もある。買収額が東芝の物言う株主(アクティビスト)らに受け入れられるのかが焦点になる。
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日刊工業新聞 2023年02月10日