次世代太陽電池「ペロブスカイト」を駅で実証、実用化へ次のステップは?
桐蔭学園、東急、東急電鉄、横浜市が実施
桐蔭学園や東急、東急電鉄、横浜市の4者は11日、横浜市青葉区で次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」の実証実験を行った。東急田園都市線の青葉台駅の改札前通路という人が行き交う公共空間に東芝製のPSCを置き、天窓下で直射日光がない場所での発電性能などを確認した。桐蔭学園が運営する桐蔭横浜大学の特任教授でPSCの生みの親である宮坂力さんは、今回の実証について「照明光や拡散光など多様な光が入ってくる駅という場所での発電性能を多くの市民に見てもらえた」と評価した。
PSCは軽く薄くて柔軟なため、既存の太陽電池は設置できない耐荷重の小さい工場屋根や壁などに設置できるほか、曇天や屋内などにおける弱い光でも発電できる。フィルムなどの基板に溶液を塗って作製するため製造コストを安価にできると見込まれ、次世代太陽電池の本命とされる。国内では積水化学工業や東芝などが25年以降の事業化を目指している。
桐蔭学園と横浜市はPSCの実用化に向けた実証や普及啓発などに関する連携協定を9日に締結した。今回の実証実験はその一環。実証実験を視察した横浜市の山中竹春市長は「世界を変える横浜発の技術を多くの市民に知ってもらうよい機会になった」と語った。その上で「実用化には企業の参画が不可欠。(今後)市内に集積している多様な企業とマッチングを積極的に進めたい」と述べた。また、宮坂特任教授は、次の実証実験として「蓄電池と組み合わせて(PSCで発電した電力を)24時間使うデモを行いたい」と意気込んだ。
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