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シキボウとユニチカトレーディング、環境にやさしい素材で”共通ブランド”の効果

シキボウとユニチカトレーディング、環境にやさしい素材で”共通ブランド”の効果

シキボウ本社で開いた合同展示会(大阪市中央区)

繊維事業で協業するシキボウとユニチカトレーディング(大阪市中央区、細田雅弘社長)は、環境へのやさしさを訴求した2素材を展開する。合同展示会で“両者共通ブランド”と銘打ち、生分解性ポリエステル繊維「ビオグランデ」と、非可食素材由来コラーゲンペプチドを配合した繊維「ウルリスト」を披露した。紡績や布製造など、両社の技術を組み合わせて多様な素材を実現し、サステナブル商材の展開加速につなげる。

両社は2021年4月に繊維事業での連携を発表した。ユニチカトレの山田博夫技術開発部長は両社の協業について「紡績を核の技術とする点は同じだが、自社にない設備を使い合えるため、開発の幅が広がる」と説明する。22年8月末から9月頭にかけて2回目の合同展示会を実施したが、出展素材は全て共同開発品で構成し、ビオグランデとウルリストも披露した。

ビオグランデは微生物が存在する環境で、二酸化炭素(CO2)や水などに分解される。洗濯時などに脱落したマイクロプラスチックによる海洋汚染を軽減する。繊維業界で有名なユニチカトレの二層構造糸技術を用いてビオグランデをコットンで包むなど、バリエーションに富んだ糸の開発ができる。両社でまとまった量の原料を購入することで、調達コスト低減にもつなげられる。

ウルリストを使った試作品(左)と、ビオグランデ(右)

ウルリストは優れた吸湿性が特徴的な素材だ。インナー素材によく使われるレーヨンより、2―3割高いという。コラーゲンペプチドは魚のうろこから抽出されており、蒸れにくさとサステナビリティー(持続可能性)の二つの観点から訴求する。インナー向けを中心に商品開発を両社で進めている。

シキボウの藤井英司繊維営業部長は「アパレル企業から再生材やオーガニックコットンなどを使いたいとの声が増えた」と話す。繊維・アパレル産業は環境負荷が大きく、厳しい視線が注がれており、各社が取り組みを急いでいる。

日刊工業新聞 2022年12月20日

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