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ピッキング生産性15%向上、産総研とトヨタが生み出した「人とロボットの協調システム」の実力

産業技術総合研究所インダストリアルCPS研究センターの堂前幸康研究チーム長らはトヨタ自動車と共同で、人とロボットの協調システムを開発した。ピッキング作業の生産性を15%向上させ、身体負荷を10%軽減した。作業の進捗(しんちょく)を測りながら、負荷を抑えるよう人とロボットに割り振る作業を調整する。障がい者など、多様な人が働きやすい環境構築につながる。

工場でのピッキング作業をテーマに作業者と移動型作業ロボ「モバイルマニピュレーター」の協調システムを構築した。ピッキングラインと同じシミュレーション環境を用意してリアルタイムに作業進捗を反映させる。

作業者の身体負荷は、腰と肩にかかる関節トルクの推定量で推計する。人とロボの安全な距離を計算し、作業が計画から遅れたら分担計画を逐次再計算する。作業者のスキルや身体特性を加味して、負荷を抑えた計画を立てられる。生産性と負荷はトレードオフと考えられてきたが、どちらも改善できた。遠隔で働く業務や複数人でのサービス業務などにも応用可能。

今後システムの簡素化でコストを抑え、幅広い業務に適用できるようにする。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業で実施した。

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