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「イカ」と人工ポリマーをハイブリッド化した高強度素材のスゴイ性能

北海道大学が開発
「イカ」と人工ポリマーをハイブリッド化した高強度素材のスゴイ性能

イカポリマーハイブリッド材料の引張試験。亀裂が進展しにくい(北大提供)

北海道大学の大村将大学院生と中島祐准教授、グン・チェンピン教授らは、イカと人工ポリマーをハイブリッド化して強度が高い素材を開発することに成功した。筋繊維の方向に対して6倍まで伸びるようになる。生体適合性が期待できるため人工腱などの材料になり得るという。生物由来資源(バイオマス)の新しい活用法を開拓する。

冷凍ムラサキイカを解凍し、ポリマー原料に漬け込んで内部に染みこませた。熱を加えるとイカの生体組織内でポリマーが重合して網目構造を作る。筋繊維の配向構造をほとんど壊さずにポリマーを導入できた。生体組織はイカリングとして食べる外套膜を利用した。

引張試験では環状筋と垂直に引き伸ばすと3倍、環状筋に沿って引き伸ばすと6倍まで伸びた。引張方向に垂直に亀裂を入れると亀裂が広がるのに必要な破壊エネルギーはそれぞれ1平方メートル当たり600ジュールと4000ジュール。筋繊維が亀裂拡大を抑えたと考えられる。イカ以外の天然材料に応用し、強靭な柔軟材料を開発していく。

日刊工業新聞 2023年01月23日

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