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熱電変換効率を高める新技術、東北大などが開発した意義

熱電変換効率を高める新技術、東北大などが開発した意義

トンネル内部のナトリウム(イメージ=東北大提供)

東北大学の山田高広教授と大阪大学の吉矢真人教授、京都大学の陰山洋教授らは、物質内部で原子を振動させて熱電変換効率を高める技術を開発した。金属間化合物内部のトンネル空間で原子が異常振動する。この振動が物質中を伝わる熱を散乱して熱伝導性を下げる。熱電変換材料の設計指針になる。

ナトリウム・ガリウム・スズの金属間化合物で性能指数が1を超えるなど、実用材に匹敵する性能を確認した。同化合物ではスズを骨格としたトンネル構造をもつ結晶ができる。トンネル内部でナトリウムがらせん状に並び振動する。

ガリウムをアルミニウムやインジウムと交換してナトリウムの間隔を調整すると、ナトリウム同士の距離が縮まるほど熱を伝えにくくなった。ナトリウム原子間の斥力などの相互作用によって熱伝搬の調和性が下がったと考えられる。

熱電変換では熱を伝えにくく、電流を流しやすい物質が高性能になる。

同化合物ではトンネル方向にナトリウムが異常振動する。特定の方向へ熱電変換性能を制御できると、高度な熱発電デバイスを開発できる。


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日刊工業新聞 2022年12月28日

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