光メモリー実現に道、「蛍光発光」光でオン・オフできる新材料の中身
熊本大が開発
熊本大学の明石優志大学院生と木田徹也教授らは、蛍光発光を光で切り替えられる光材料を開発した。蛍光体が吸収したエネルギーを有機配位子に逃して光らなくする。この有機配位子の吸収機能を光で切り替える。光メモリーや超解像度撮像のプローブ開発などにつながる。
蛍光体としてセシウム鉛臭素の金属ハライドペロブスカイト型微小結晶を採用した。この結晶にジアリールエテンを配位させ複合体を作る。ジアリールエテンは開環型と閉環型の分子構造を持つ。閉環型だと結晶が吸収した光エネルギーがジアリールエテンに移り、結晶は蛍光を発しなくなる。
紫外線を当ててジアリールエテンを開環型に戻すとエネルギー移動は起きなくなり、結晶は蛍光を発する。結晶表面のジアリールエテンが吸い取ったエネルギーをさらに溶媒に移すと、蛍光発光のオンオフ比を大きく安定させられた。今後、固体中で同原理を発現させる。光メモリーなどの実現につながる。
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日刊工業新聞 2022年12月29日