「スポーツ×テクノロジー」実践競技の先進事例作る、スポーツ庁が一手
スポーツ庁は、2023年度にスポーツとテクノロジーを組み合わせた実証事業を拡充する。観戦体験の技術拡張に加え、実際に「する」スポーツの先進事例を作る。仮想現実(VR)演出で競技のハードルを下げたり、親しみやすくするといった取り組みを公募する。同時にテクノロジー活用を支えるデータ人材についての調査事業を進め、相乗効果を狙う。
スポーツにおけるテクノロジー活用推進などを含むスポーツ産業成長促進事業として、4億円を確保する。22年度の3億円から3割強の増額になる。このうち、実証事業では観戦と実践の技術拡張を進める。
例えばフェンシングの試合にCG(コンピューターグラフィックス)エフェクトをかけるように、高速で進む競技を演出できれば分かりやすさと面白さを両立できる。これをVR化することでスポーツに挑戦するハードルを下げたり、ステップアップしやすくしたりと観戦と実践の相乗効果が狙える。数千万円規模のプロジェクトを数件公募すると見られる。
同時にデータ人材の調査事業を始める。スポーツ界では競技分析や選手育成、マーケティングなどの場面でデータ活用が求められるが、データ分析業務での雇用は少ない。プロスポーツ団体は専門人材を雇用できても、アマチュアやマイナースポーツでは課題が多い。
結果としてITベンダーなどに依存しがちになる。これがテクノロジー活用のボトルネックとなっている可能性があった。実態と課題を明らかにすることでスポーツ界でのデータ活用を支える人的基盤を整え、スポーツのデジタル変革(DX)を促す政策につなげる。
日刊工業新聞 2023年01月12日