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アスファルトプラント最大手が開発、リサイクルの異物を除去効率化するAIの「勘所」

アスファルトプラント最大手が開発、リサイクルの異物を除去効率化するAIの「勘所」

画像AI認識選別システム「アイルビーソーター」の画面例。教師データ作成において、異物を認識して線で囲みラベル付けする作業は、どうしても人間による勘が必要となる

日工はリサイクル業界向けに、人工知能(AI)による画像認識技術を活用した選別システム「AI’ll be sorter(アイルビーソーター)」を開発した。破砕された対象物の中から異物を取り除く工程で、現場の負担軽減を見込む。実績を積んだ上で、将来的には主力事業のアスファルトプラントやコンクリートプラント向けにも同様のシステム提案を狙う。

選別対象をコンベヤーに載せ、カメラで撮影。その画像をAIが解析し、異物がどこにあるかを認識する。その上で吸引ノズルによって、異物を取り除く。現在、複数の事業者向けで概念実証(PoC)を進めている。 例えば蛍光灯のリサイクル現場では、プラスチックの破片の除去などは、どうしても人間の手作業が必要となるという。アイルビーソーターで、そうした負担を軽減できる。

運用に際しては、事前に教師データを作成し、AIへ機械学習させる工程が必要だ。日工は、破砕された対象物の画像データを顧客から大量に受け取る。そしてその画像を確認し、異物がある箇所を線で囲んでラベル付けする「アノテーション」を行う。その作業は、独自開発のソフトウエアを使って多少効率化できるものの、人間による目視確認とパソコン操作は、どうしても必要となる。

画像AI認識選別システム「アイルビーソーター」の全体イメージ(日工提供)

学習のさせ方にも工夫が要る。良い結果を出すためには、“質の良いデータ”が必要だ。場合によっては、異なるデータを複数入れなれけばならない。技術本部の石田健二係長は「専門知識がないと、何が質が良いかも分からない。こういうデータを入れればうまくいくという“勘所”が重要だ」と語る。

日工はアスファルトプラントで国内シェア約7割の最大手。搬送、破砕、加熱、混練など、プラント関連で自社製品も展開する。AIルビーソーターにこれらを組み合わせれば、AIによる選別工程だけでなく、その前後工程もセットで提案できる強みもある。

アイルビーソーターの提案先は、まずはリサイクル業界向け。ただ将来的には、主力のプラント向けへの展開も期待される。例えばアスファルトプラントでは、既存の舗装道路から剝がした再生骨材に、砕石や新しいアスファルトなどを混ぜて「アスファルト合材」を作る。その工程の異物除去にも、同様のノウハウが生かせると見込む。国内のアスファルトプラント設置台数が年々減少傾向にある中、最新技術を組み合わせ、高付加価値の提案を強化する考えだ。(神戸・園尾雅之)

日刊工業新聞 2022年11月18日

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