ガラス瓶3種を99%認識する「資源ゴミAI自動選別機」の仕組み
資源ゴミAI自動選別機を開発
PFU(石川県かほく市、長堀泉社長)は、自社製品の技術を活用した「資源ゴミAI自動選別機」の開発を進めている。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の観点から、リサイクルを効率的に行うことに加え、中国の廃プラスチック輸入禁止政策や、コロナ禍による家庭ゴミの増加など国内外で急務となっている資源ゴミへの対応に貢献していく。
AIで瓶の色、形を選別する。現在までにガラス瓶3種の認識率は99・1%まで向上した
現在、ゴミ処理施設での労働力不足の解消による業務効率化と事業継続性を確保するため、機械による省人化に取り組んでいる。同選別機は2022年度内の導入を目指す。
資源ゴミでも特に飲料用ガラス瓶は、ビールなどの茶色、日本酒などの透明、ワインなどのその他の色に分けられ、リサイクル時に仕分けする必要がある。処理施設での選別は人の手により行われるが、現場作業者が高齢化しており、長時間の立ち仕事で労働環境は決して良いとはいえない。
同社は19年秋頃から廃棄物処理事業の可能性について議論を重ねて、20年2月から実証実験を開始した。「缶、ペットボトルなどリサイクル品は他にもあるが、当面は技術的に確立していないガラス瓶に注力する」(田畑登エッジプロダクト事業部第二営業部長)と、原稿読み取り機(スキャナー)の開発で培った光学技術と認識技術を組み合わせ、瓶を選別する。
本社内に設置した試作機。認識用カメラを通して真空吸着ハンドで瓶をつかみ、選別する
ガラス瓶の色分けや輪郭から重心位置を読み取り、真空吸着ハンドにより選別。四合瓶であれば毎秒1瓶と、人の選別速度に近い処理速度を可能にしている。実用化に向けては処理施設内の各種ラインに対応するため、試作品よりコンパクトで自立型にして、大幅なライン改変もなく、後付け設置も可能にする。
開発に携わるドキュメントイメージング本部の本江雅信氏は「(21年7月時点で)ガラス瓶3種の認識率は平均99・1%。これを99・9%まで引き上げたい。特に難しいのは、飲料用の瓶と化粧品用の瓶の選別だ。自社の技術力を生かして、他社との差別化を図りたい」と悩みながらも前を見据える。今後は、まず国内の処理施設での実績を重ねて、グローバル展開も視野に入れている。