世界最大のプラスチック・ゴム展示会で三菱ケミカルGが設置した隠れた主役
三菱ケミカルグループは世界最大のプラスチック・ゴム展示会「K2022」で、2019年開催の前回に続いてグループの一体感を強調した展示となった。展示ホールの外に同社グループ専用の建屋を建て、自動車部材や包装材料、メディカルなどのテーマで多様な製品群を集め、総合力をアピールした。
同社は21年4月にジョンマーク・ギルソン社長が就任後、「ワンカンパニー、ワンチーム」を旗印に、シンプルな組織にしグループ一体化をさらに推進している。欧州も同様。三菱ケミカルヨーロッパ(ドイツ)のアンスガー・ポール社長は「組織をシンプル化し、成長につなげる。市場をマクロに見ることで事業間をコーディネートし、強い事業ポートフォリオに変えたい」と語る。
「K」ではテーマごとに展示し、特に自動車とサステナビリティー(持続可能性)に貢献する製品が広いスペースを占めた。市場が拡大する電気自動車(EV)のバッテリーケースには、遮炎機能を持つガラス繊維と熱可塑性樹脂の複合材料を提案。炭素繊維では、意匠性の高い炭素繊維織物を使った複合材料から加工しやすい短繊維の複合材料、リサイクル炭素繊維、水素燃料タンクまで幅広い技術対応力を紹介した。
サステナビリティー貢献においても生分解性樹脂「バイオPBS」をはじめ、植物由来原料を使った塩化ビニル樹脂コンパウンド(混練)、ガスバリアー樹脂「ソアノール」を使った再利用しやすい多層包材、多層フィルムを簡単に分離する技術などをそろえた。
また、隠れた主役は展示ブース内に設置したサステナビリティー関連製品を採用したインテリア。同社グループが出資する米リングローブの亜麻など天然繊維と樹脂の複合材料で“カーボンネガティブ素材”の「エコア」は、観葉植物付きの間仕切りに加工。見た目はほとんど木材で、指摘されなければ気付かないほど自然だ。床材には植物由来原料を使った塩ビコンパウンドを使用した。
同社担当者は欧州の事業環境について「若者が政策を動かし、政策が企業を動かし、サステナブルな製品への要求が高まっている」と話す。幅広い製品・技術群を時代の波にうまく当てはめ、成長を目指す。