三井化学が「モノマテ包材」で狙うスタートダッシュ
三井化学は世界最大のプラスチック・ゴム展示会「K2022」で、2019年開催の前回に比べブース面積を2倍にし、和風のデザインへ一新した。欧州化学大手各社が巨大ブースを構える中で、まずは来場者の足を止め、持続可能な社会に貢献する製品・技術の訴求を狙った。
「過去のバイオマス素材ブームは盛り上がっては景気悪化で後退した。だが、今回は違う」と担当者は力を込めて語る。市場の変化を受け、同社はバイオポリオール「エコニコール」の欧州販売を決めた。クッション材などとなるポリウレタンの原料で、非可食植物から生産している。
これまで欧州で宣伝していなかったが、すでに一部の現地顧客との交渉は順調に進展している。満を持して「K」で実物を展示し、発売後のスタートダッシュを狙う。
バイオマス関連と並び、欧州市場からの関心が強いのがガスバリアー性を備えたモノマテリアル包材だ。包装材料は廃プラ全体の4割超を占めており、リサイクルの拡大が求められる。同社ではベースフィルムとバリアー層、袋を閉じるため接着するシーラント層をポリオレフィン樹脂に統一することで、リサイクルしやすいモノマテ包材を提案する。
カギは、同社独自の接着樹脂「アドマー」を使い「相性の合わない素材同士をくっつける」(同社担当者)こと。例えば、ポリオレフィンフィルムにアドマーを塗り、ガスバリアー樹脂を接着。その上にアルミニウムを蒸着すると、最もバリアー性の高いアルミ箔(はく)並みのモノマテリアル包材向けバリアー層となる。
三井化学ヨーロッパ(ドイツ)の平岩健司社長は「欧州は技術革新をリードする会社が多い。三井化学ヨーロッパがこれをキャッチしていち早く動き、三井化学を引っ張れるようになりたい」と意気込む。今後、現地のR&D機能を強化し、対応力を高める。
三井化学は30年度を最終年度とする長期経営計画で、社会課題視点でビジネスモデルを変革し、成長を目指す。この実現に向けて、持続可能な社会に向けた変革をリードする欧州はますます重要な市場となりそうだ。「K」を足がかりに欧州での存在感を高める。