#1
原子力機構が高温ガス炉活用で推進室新設、水素製造・熱利用を加速
日本原子力研究開発機構は、高温ガス炉や水素製造・熱利用技術の取り組みの強化に向けた「高温ガス炉プロジェクト推進室」を設置した。高温工学試験研究炉(HTTR)を活用した水素製造の技術の確立だけでなく、海外との事業連携・参加が増えると見込まれることから同推進室の設置を決定。12人体制で、渉外・広報業務などを担当する。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現への動きが加速すると見られる。
HTTRと接続した水素製造施設を設置して、原子力を使ったカーボンフリーな水素の製造方法の構築を目指している。特に両施設を安全に接続する設計・評価技術などが重要であり、2030年までに完成することを目指して開発を進めている。日本の高温ガス炉の研究は世界からも注目されており、同接続技術が確立できれば世界初となる。
日本の持つ高温ガス炉の技術を求める声は多い。原子力機構はポーランドが導入を検討している高温ガス炉の基本設計に協力し、設計技術や情報を提供する。また英国の新型炉開発の予備調査の実施に採択されるなど、国際協力は今後も増え続けそうだ。
同機構は17日、一般向けの報告会を開く。次世代革新炉の開発に向けた取り組みや課題などを講演する。
日刊工業新聞 2022年11月04日
特集・連載情報
原子力といえば原子力発電がイメージされますが、燃料電池や自動車エンジンの開発にも貢献する基幹技術です。イノベーション創出に向け、「原子力×異分野」の知の融合を推進する原子力機構の『価値』を紹介します