コストアップ深刻化、円安による企業影響の実態
輸入食材高騰、食品関連の苦境色濃く
東京商工リサーチが実施した円安に関するアンケートで、9月の1ドル=143円前後の円安局面で経営に「マイナス」と回答した企業が半数以上の54・1%に上った。マイナスの影響が強いのは食品関連の業種が多い。ウクライナ情勢に加えて、加速する円安で食材の輸入価格が上昇し、コストアップがより深刻化している実態が浮き彫りになった。
規模別で見ると、マイナスは中小企業で54・7%を占めた。大企業でも50・2%と半数を超えた。
業種別ではマイナスの影響が強い上位10業種で「飲食店」や「食料品製造業」など食品関連が目立った。
アンケートでは望ましい対ドルの円相場も聞いた。最多レンジは「110円以上115円未満」で27・3%だった。次いで「120円以上125円未満」で25・5%、「115円以上120円未満」で19・7%の順だった。希望レートが「110円以上125円未満」のレンジの企業が72・6%を占めた。
前年よりも輸出量が「増加(予定も含む)」と回答した輸出企業は38・0%だった。8月の前回調査と比べて8・5ポイントの大幅上昇となった。円安の恩恵を受ける企業と苦境に陥った企業の差も広がりつつある。増加と答えた上位10業種のうち、製造業は5業種、卸売業は3業種だった。
今回のアンケートは3―12日にインターネット方式で実施し、有効回答5019社を集計・分析した。
日刊工業新聞2022年10月19日