量子暗号でデータ高秘匿伝送、NECなど検証成功
NEC、情報通信研究機構(NICT)、京都大学、慶応義塾大学は、量子暗号技術と秘密分散技術を融合した「量子セキュアクラウドシステム」を適用した検証試験で、設計情報の最適化の処理、高秘匿伝送、分散保管に成功した。量子計算技術を利用した次世代アクセラレーターで最適化した次世代のフォトニック結晶レーザーの高度設計情報をインターネット回線を用いて離れた拠点間で安全に伝送できることを初めて確認した。
検証試験ではNECの回線暗号装置「COMCIPHER―Q」をNICT、京都大学、慶応義塾大学の計3拠点に設置。専用回線を新たに敷設することなくインターネット回線上に、量子鍵配送装置で生成した暗号鍵を用いて仮想的な暗号回線を構築し、異なる組織の3拠点間で安全にデータを伝送できることを確認した。
検証試験は内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として実施した。今後、半導体産業や自動車産業などさまざまな製造業分野での適用を見込む。
日刊工業新聞2022年10月17日