ニュースイッチ

水上ドローン活用で海洋マイクロプラスチック分析、珍しい調査開始

太平環境科学センター(福岡市博多区、坂本雅俊社長)は、水上ドローンで博多湾内から採取した海水のマイクロプラスチック分析を月内に始める。地上にある独自の濾過装置に海水を連続して送る方法。「同様の方法による海水の調査分析は全国的にもめずらしい」(坂本社長)という。

装置は水処理メーカーのゼオライト(福岡市博多区)が製作した。海水を1000分の1に濃縮して試料を採取する。海水は15―16トンを連続して取り込む必要があり、5―6時間かかる。その間に潮流などで流されないようドローンを使う。流れ込む河川水の影響を受けにくいポイントを選び、採取する。

ドローンは長崎大学の山本郁夫研究室が開発した「KENBOTⅡ=写真」。縦1400ミリ、横1100ミリ、厚さ650ミリメートルで潮流の影響を受けにくい大型タイプ。四つのスクリューで前後左右に移動できる。全地球測位システム(GPS)で位置を把握して保つ。

今回の分析期間は天候などにより11月までを予定。福岡市東区の志賀島北端から数十メートルの湾内、深さ約9メートルから海水を採取する。ドローンと濾過装置はポリ塩化ビニール製のホースでつなぐ。ホースは直径10ミリ―100ミリメートルの複数種類を試し、適切な種類を探る。

分析は長崎大の中谷久之研究室と共同で20ナノメートル(ナノは10億分の1)―25マイクロメートル(マイクロは100万分の1)サイズの粒子を対象とする。

太平環境科学センターは港の岸壁から海水を採取する調査分析を1月に行った。

日刊工業新聞2022年10月14日

編集部のおすすめ