ゼオライトは温室効果ガスの一種「N2O」を大量吸収する。東大が発見

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N2Oを大量に吸着する天然のゼオライト(東大提供)

東京大学の脇原徹教授らは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一種である一酸化二窒素(N2O)を天然のゼオライトが大量に吸着することを発見した。N2Oは温室効果が二酸化炭素(CO2)の約296倍、大気寿命が121年と長い。一方で、ゼオライトは1キログラム当たり100円以下で販売されている。下水処理場や畜産の現場、ディーゼルエンジンなどから排出されるN2Oを安価に除去できるシステム開発につながる。

実験では天然のモルデナイトゼオライトが常温常圧で1グラム当たり0・34ミリモルのN2Oを吸着した。吸着量はパラジウムなど貴金属ナノ粒子の数分の1にとどまるが、ゼオライトは価格競争力が高い。粉砕しなければ1キログラム当たり10円程度で入手可能という。ゼオライトに吸着したN2Oは加熱すると200度C以下で脱離し、吸着材として再生できる。

ゼオライトの陽イオンをカルシウムイオンやナトリウムイオンで交換すると吸着量が増えた。安価なイオン種で吸着量を増やせることが見込まれる。ゼオライトは水分やCO2も吸着するため混合ガスはN2Oの吸着量が減る。そこでLTA型ゼオライトでガス中に含まれる水分やCO2を取り除いてからMORゼオライトにガスを通すとN2Oが取り除かれた。

N2Oはオゾン層を破壊する。大気中の平均濃度は332ppb(ppbは10億分の1)と薄く、これまで一度排出されてしまうと取り除くのが困難だった。そのため、下水処理場や工場などで排出される高濃度な段階でコストをかけずに取り除く必要があった。

日刊工業新聞2021年7月20日

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