モリタHD、欧消防車メーカーのM&A検討の背景
モリタホールディングス(HD)は早ければ2025年度までに、欧州消防車メーカーなどを買収する検討に入った。M&A(合併・買収)を含む成長戦略投資枠200億円の一部を買収資金に充てる。同社の売上高は19年3月期に915億円に達して以降、800億円台にとどまっている。主力の消防車事業は国内市場が成熟期に入りつつあり、海外事業の深耕を成長の足がかりとする。
モリタHDは19―25年度の中期経営計画で成長戦略投資枠200億円を設定し、うち38億円を大阪府八尾市に23年7月完成予定の研究開発(R&D)・営業拠点開設に充てる。
中計は半ばまできたがまだ資金の多くを残し、大型M&Aを実施する余力がある。国内では消防車シェアが58%とすでに高く、市場も飽和傾向にある。欧州の有力消防車メーカーを中心に買収を検討し、グローバル市場で規模を拡大する方針だ。
同社は16年にフィンランドで消防車と高所作業車を手がけるブロント・スカイリフトを子会社化し、海外進出した。狭い道が多く日本の消防車事業と比較的似ている欧州を中心に、ブロントに次ぐ候補を探す。
一方、消防車に次ぐ防災機器事業では国内のパートナー開拓も可能とみて、資本提携や販売での業務提携などを検討する。
16―18年度の中計では年間売上高1000億円を掲げていた。国内で有力なグループ企業を増やしつつ、海外事業を拡大し大台に再挑戦する考えだ。
日刊工業新聞2022年10月14日