カネカが太陽電池3倍超増産、「驚くほど増えている」需要の正体
カネカは2024年度にシリコン型太陽電池の生産能力を現状比3倍以上に引き上げる。太陽電池製造子会社「カネカソーラーテック」(兵庫県豊岡市)の既存設備を生産効率の高い最新設備に置き換えるなどし、増産体制を整備する。投資額は非公表。旺盛な需要が今後も続くと見て、新たな生産拠点も検討する。
カネカは、物性の異なる半導体材料を組み合わせ、変換効率を高めた「ヘテロ接合太陽電池」の能力を増強する。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成を目的に一戸建て向けの需要が旺盛。さらに、電気自動車(EV)の補助電源用途やビル・倉庫など大型施設向けにも太陽電池の搭載が増えると判断した。
国内の太陽電池メーカーの多くがセル生産から撤退したが、カネカは現在もセルの開発と生産を継続。セルからモジュールまで一貫して手がけていることが強み。ペロブスカイト太陽電池や、同太陽電池技術と結晶シリコン太陽電池技術を掛け合わせたタンデム型太陽電池などの開発も加速している。
カネカの太陽電池生産拠点は現在、カネカソーラーテックのみ。田中稔社長は「大手ハウスメーカー向けなどで驚くほど需要が増えている。次々と能力増強する必要がある」とみている。
日刊工業新聞2022年10月10日