コロナ禍から回復傾向のミズノ、「株価純資産倍率」が顕著に低い要因
海外市場開拓、出遅れ響く
スポーツイベントの中止などコロナ禍で大きな打撃を受けたスポーツ用品・ウエア各社だが、業績は改善傾向にある。ミズノも例外ではなく、2022年3月期は欧米を中心とした海外でゴルフクラブやランニングシューズ、国内では野球やサッカー、ゴルフが好調なことから、売上高は前期比14・8%増と上向きに転じ、営業利益は同2・6倍と大きく伸びている。
ただ国内同業と比べると、PBR(株価純資産倍率)の低さが際立つ。競合のアシックスやデサントは2―3倍程度を維持しているが、ミズノは22年3月末で0・48倍にとどまる。競合メーカーと比べると投資家からの評価が物足りない。
その要因の一つとして、PBRの分母に相当する自己資本比率の高さがあるのは確かだろう。例えば22年3月末時点でアシックスが44・0%だったのに対して、ミズノは67・3%と高水準。しかし最大の原因は、成長への期待に応え切れていないことにありそうだ。
アシックスは10年前の12年3月期に2477億円だった売上高を21年12月期には1・6倍以上の4040億円に伸ばした。一方、ミズノは1549億円から1727億円へとわずか11・5%増。少子高齢化の進展で国内市場で大きな成長が望めない中、これまでの海外での実績の差がそのまま反映した格好だ。
実際、ミズノの海外売上比率は33・8%(22年3月期)にとどまるが、アシックスは78・7%(21年12月期)に達する。同社の営業利益率は日本の1・1%に対し欧州や中華圏、オセアニアで2ケタを達成し、海外が稼ぎ頭。そのためミズノでも、「2024年に約40%を目指す」と海外事業拡大を課題に掲げ、ゴルフ事業やランニングに加え、サッカーなどを中期的に海外の新たな成長カテゴリーと位置付ける。
国内ではスポーツテクノロジーを使った快適な企業制服や、ヘルスケア分野など非スポーツ事業の拡大も目指している。自己資本比率の高さをどのように成長投資に生かしていくかが問われそうだ。