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抗菌剤投与後の下痢・発熱発症、大豆たんぱく質が一因だった

慶応義塾大学の金倫基教授らは、抗菌剤を投与後に下痢や発熱などを引き起こす感染症の一因を解明した。抗菌剤投与による腸内細菌の乱れで下痢を引き起こす感染症「CDI」に着目。マウスを使った実験で、食事に含まれる大豆たんぱく質が症状を引き起こす細菌の増殖を促し、病態を悪化させることが分かった。食事に着目した予防法の開発などが期待される。

京都大学との共同研究。成果は、国際科学誌セル・リポーツ電子版に掲載された。

CDIの発症や予防に腸内細菌が関わっていることから、摂取する食事成分の違いに着目。抗菌剤を投与したマウスに大豆たんぱく質を与えると、牛乳の主要たんぱく質である「カゼイン」の投与時よりもCディフィシルが腸内で増え、CDIの病態が悪化した。さらに大豆たんぱく質が腸内細菌の一種「ラクトバチルス」を増加させ、その際に放出されるアミノ酸がCディフィシルの増殖を促していることも分かった。

CDIは抗菌剤投与による腸内細菌の乱れをきっかけに、「クロストリディオイデス(C)・ディフィシル」という細菌が腸内で増殖し毒素を作ることで、下痢や発熱などを引き起こす感染症。抗菌薬を原因とする下痢症の20―30%を占め、入院患者で最も多い感染症とされている。

日刊工業新聞2022年9月20日

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