【ディープテックを追え】「ソルガム」をバイオ燃料に。食料とCO2回収も狙う

#95 バイネックス

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「食料、環境、エネルギーの問題を一手に解消する」。バイネックス(東京都港区)の青木宏道代表はこう力を込める。同社はイネ科の植物「ソルガム」の特徴を生かして、環境負荷の低いエネルギー源を開発する。

生育が早いソルガム

ソルガムの特徴は乾燥に強い点だ。イネやコムギが育たないような地域でも成長するため、雑穀や飼料として多くの地域で栽培される。成長も早く年3~4回収穫できる。また、成長の過程で二酸化炭素(CO2)を土壌に固定化する。バイネックスはソルガムから食料に加え、バイオ燃料を製造。ソルガム成長時のCO2吸収をカーボンクレジットとして活用して、環境負荷の低減を目指す。

オーストラリアでソルガムを育てる(同社提供)

バイオ燃料を製造するのに適したソルガムを東京大学と開発した。栽培する地域の気候や病気への耐性などを考慮した種子を使う。すでにアジアや中南米など、19カ国で実績を積んできた。同社は、収穫したソルガムの葉や茎などを粒状の燃料「ペレット」やバイオマスガスに加工。ペレットは火力発電で石炭と混ぜて燃やしたり、鉄鉱石を還元するのに使う。バイオマスガスはメタノールに加工して、燃料や化学原料としての活用も想定する。

エネルギーとして燃焼する際にCO2を排出するが、ソルガムの生育時にCO2を吸収するため、全体の排出量はマイナスになるという。スギと比較すると、約10倍の1ヘクタールあたり150トンのCO2を吸収できる。

オーストラリアで栽培

青木代表

シンガポールの子会社と通じて、オーストラリアの農業法人と協業。合計で5万ヘクタール規模の農地でソルガムを栽培することに合意している。すでに契約農家を抱えており、早ければ10月から栽培を始める。初年度の栽培面積は5000ヘクタールで、ペレットにすると30万トン規模になる予定。今後順次、栽培面積を拡大する。またペルーなど中南米へ栽培地を広げる計画だ。

 
ソルガムからバイオマスガスを作るプラント(同社提供)

並行して、燃料加工の体制も構築する。年産350キロリットルのバイオマスガスを製造できるデモプラントを8月にも長崎県長崎市で稼働する。近くサンプル出荷も始める。最終的にはソルガムを栽培する地点の近くに、ペレットやバイオガスの加工拠点を設ける。ペレットでは収穫が始める2023年に、年産30万トン規模の加工拠点を稼働する予定。24年にも年産90万トン規模へ拡大する。将来はバイオマスガスから、燃料電池向けの水素や再生航空燃料(SAF)の製造も視野に入れる。青木代表は「石油化学でできることは何でもやりたい」と展望する。

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