SAFで7割減、ANAがCO2ゼロへ公表した新戦略の全容

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ANAは日本の航空会社で初めて定期便にSAFを搭載(20年11月、ANAHD提供)

ANAホールディングス(HD)は、2050年度に二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)を実現するため、持続可能な航空燃料(SAF)の導入など四つの施策を柱とする戦略を策定した。50年度におけるSAFの貢献割合を70%とする野心的な目標で、グループの持続的な成長と環境対策を両立する。これらの戦略を実行するため、近く環境債(グリーンボンド)を発行し、SAF購入などに充てる方針だ。

「まず30年度までにSAFを確実に使用できる環境にすることがカーボンニュートラルへの大きな道しるべになる」。宮田千夏子上席執行役員は50年度のネットゼロ達成に向け、こう主張する。

1日発表した戦略では①運航上の改善・航空機などの技術革新(航空管制の高度化や運航方針の改善、省燃費航空機の導入など)②SAFの活用など航空燃料の低炭素化③排出権取引制度の活用④ネガティブエミッション技術の活用(大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化する技術)―の四つの施策の遂行を柱とした。

当面の目標である30年度には、CO2の実質排出量を19年度並みの1233万トンに抑制。運航上の改善・航空機などの技術革新で15%、消費燃料の10%以上をSAFに置き換えるなど航空燃料の低炭素化で6・5%、排出権取引で3・5%、ネガティブエミッション技術で1%相殺し、排出量を合計26%削減する計画だ。

さらに50年度のネットゼロ実現では、SAFの導入拡大などで排出量を70%削減するほか、運航上の改善などで20%削減する。削減しきれない実質排出量が10%残るが、それらは大気中のCO2を直接回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」技術(ネガティブエミッション技術)で相殺し、排出権取引に頼らない計画だ。

一連の施策で「もっとも重要な貢献度はSAF」(宮田上席執行役員)の導入方針だ。SAFはバイオマスや廃食用油などから製造する燃料と、排ガス由来のCO2と水素による合成燃料の総称で、従来の燃料よりCO2の排出量が約80%少ない。

一部でSAFを航空燃料に混ぜた実証飛行が国内外で始まったが、本格的な開発・普及はこれからだ。3月には化石燃料に依存しない国産SAFのサプライチェーン(供給網)を構築しようと、全日本空輸や日本航空、日揮ホールディングス、レボインターナショナル(京都市伏見区)など産業横断の有志団体「アクトフォースカイ」が設立されるなど、日本も本腰を入れ始めた。

ただ、SAFは化石燃料より高価な燃料となるため、導入の拡大には民間の動きや政策的な支援だけでなく、航空機の利用者からの支持も不可欠だ。CO2を排出する航空機は環境負荷が大きいというイメージを払拭するためにも、ANAHDだけでなく航空業界全体で導入の機運を盛り上げる必要がある。

日刊工業新聞2022年8月2日

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