スイッチング温度操作が可能な熱スイッチ材、阪大が開発
大阪大学の石部貴史助教と中村芳明教授らは、切り替え温度を制御できる熱スイッチ材料を開発した。熱伝導率が87度Cと117度Cで約半減する有機材料を作製した。切り替え温度を超えると熱が伝わり難くなる。高度な熱利用社会の実現につながる。
規則的なナノ構造を作る液晶性ブロックコポリマーを利用する。液晶性ブロックコポリマーは材料中にナノサイズの円柱が並んだ構造をとるが、特定の温度を超えると円柱が球になる。このナノ構造の変化で熱伝導率が下がる。
今回、液晶部分の分子構造を変えることで円柱から球へ切り替わる温度を30度分変化させた。1メートルと1度当たり0・3ワット程度だった熱伝導率が2分の1から3分の2程度に下がる。こうした方法論を発展させることで有機熱制御材料の開発につながるという。
日刊工業新聞2022年7月29日