ミネベアミツミが生産増産、IGBTの需要が広がる背景
ミネベアミツミは千歳事業所(北海道千歳市)のIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の生産能力を口径150ミリメートル(6インチ)ウエハー換算で従来比約3倍に引き上げる。製造設備を増設し2022年度後半の稼働を目指す。電動車両の普及などを背景に、モーターの回転速度を効率良く制御し省エネに貢献するIGBTの需要が広がっている。
成膜装置や帯電した原子や分子(イオン)注入機、洗浄装置など裏面工程の装置を増設する。投資額は数億円。口径200ミリメートル(8インチ)ウエハーにも対応させる。グループのMMIセミコンダクター(滋賀県野洲市、用害毅社長)が生産するIGBTの裏面加工を月間約8000枚行える体制を築く。
21年にオムロンから買収したMMIセミコンダクターには、IGBTの裏面加工ができる設備がなかった。千歳事業所の設備を増強し、集中的に裏面加工することで、一段の需要拡大にも対応しやすいと判断した。
千歳事業所はウエハー上に回路を形成する前工程の拠点。6インチウエハーで月4万枚の生産能力を持つ。スマートフォン用リチウムイオン電池の保護IC向けの比率が高いが、足元ではIGBT向けが伸びる。
ミネベアミツミは22年3月期に775億円だった半導体事業の売上高を25年3月期に約1000億円に引き上げる目標を掲げ、このうち千歳は300億円規模を担う予定。
日刊工業新聞2022年7月8日