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全国40カ所以上で自動運転サービス、ソフトバンク子会社が実用化へ

全国40カ所以上で自動運転サービス、ソフトバンク子会社が実用化へ

モデルケースとなる茨城県境町では自動運転バスを1日18便運行している

ソフトバンク傘下のBOLDLY(ボードリー、東京都港区、佐治友基社長)は、2025年までに特定条件下で完全自動運転が可能な「レベル4」相当の移動サービスを全国40カ所以上で実用化する。茨城県境町や羽田イノベーションシティ(同大田区)で手がける自動運転バスの定常運行をモデルケースにし、他の地域に広げる。政府は22年度中にレベル4での公道走行を可能にする改正道路交通法の一部を施行する方針。同社は自動運転の環境整備を追い風にサービスの普及拡大を狙う。

ボードリーは自動運転の運行管理・遠隔監視システムや3次元(3D)マップデータの収集、運行に関わる人材の育成・教育などを提供し、自治体や交通事業者による自動運転移動サービスの実用化を支援している。これまで全国で120件を超える自動運転の実証事業に参画しており、年々、自治体や交通事業者からの相談が増えているという。

茨城県境町では20年11月、同社の協力を受け、国内の自治体として初めて自動運転バスの定常運行を開始。仏ナビヤ製の電気自動車(EV)自動運転バスを導入し、地域住民や観光客向けに移動サービスを提供している。

同社は22年度にも信号機などから交通情報を走行する車両に送るインフラ連携の技術を実装して自動運転の高度化を図る。併せて、非常時においてもシステムが車両を操作するレベル4に引き上げる計画だ。

今後、同町での自動運転バスの取り組みを他の地域に横展開することを目指す。既に複数の自治体で見通しが立っているという。

政府は無人自動運転移動サービスを30年までに100カ所以上で実用化する目標を掲げる。まずは22年度中にレベル4の実現に向け、都道府県の公安委員会がサービス提供する事業者の運行計画を事前に審査して許可を与える制度を創設する。事業者には遠隔監視や事故時の対応を義務付ける。

日刊工業新聞2022年7月5日

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