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ローカル5Gで公道走る「自動運転バス」、どんな技術が使われている?

ローカル5Gで公道走る「自動運転バス」、どんな技術が使われている?

群馬・前橋でローカル5Gエリアをつくり自動運転バスの公道走行を評価・検証する

ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構(TOPIC)、群馬大学、日本モビリティ(前橋市)、NECは、第5世代通信(5G)を地域限定で利用できる「ローカル5G」を活用し、複数台の遠隔監視を含む自動運転バスの公道実証を前橋市で始めた。区間はJR前橋駅から上毛電気鉄道の中央前橋駅までの約1キロメートル。総務省のローカル5G開発実証事業の一環となり、2022年度の社会実装を目指す。

ローカル5G設備を中央前橋駅に設置することで、周辺をローカル5Gエリア化して公道での自動運転の評価検証を実施する。人工知能(AI)ベースの映像配信技術と映像分析に基づくアラート通知技術を連携させ、1人のオペレーターが複数台の自動運転バスを効率的に監視する。実証は27日までを予定。

AIを活用して監視用映像の送信画質を最適化する技術には、NECの「学習型メディア送信制御技術」を採用。通信帯域の変動が発生しても安定して映像を配信するため、通信帯域を予測し、送信データ量が予測した通信帯域を下回るように映像を圧縮する。

映像圧縮では監視の精度を維持するため、重要領域と最適画質を特定して重要度の低い領域のみ画質を下げる。

アラート通知では映像中の人や車、信号などを検出し、自車両との距離が近づいた場合など、注意や介入が必要な状況を検知し、オペレーターに知らせる。監視画面は「統合監視画面」と「詳細監視画面」で構成。詳細監視画面に表示する車両を自動的に切り替えることで、危険の見落としを防ぐ。

今回の実証は、限定したエリアでのレベル4自動運転(完全自律型自動運転)の社会実装を想定し、日本中央バス(前橋市)の通常運行のバスとして利用者を乗せて行う。複数台運行のための仕組みの検証として、群馬大研究・産学連携推進機構次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)が同センター内の試験路において自動運転バスの遠隔操作を行う。

日刊工業新聞2022年2月24日

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