伊勢神宮のおひざもとに誕生したDX拠点の全容
伊勢神宮のおひざもとにデジタル変革(DX)の拠点が誕生した。創業100年を超える食堂を営むゑびや(三重県伊勢市、小田島春樹社長)は、神宮の内宮への参道沿いに「ゑびや商人館」を開いた。デジタル人材の研修や新商品の試験販売などのサービスを提供して、飲食・サービス業のDXを促す。小田島社長は「施設の前を歩く大勢の観光客を相手に試行錯誤を繰り返してほしい」と期待を込めた。
ゑびや商人館は機能ごとに1日単位から貸す。試験販売の場所は1日10万円(消費税抜き)から。
参道沿いに広がる商店街「おはらい町」に位置する。延べ床面積は約278平方メートルの2階建て施設で、飲食店だった建物を改装した。1階にはキッチンスペースや新商品を試験販売する場所を設け、2階には利用者同士が交流できる事務所を用意。売り上げや通行客のデータ分析を通じた新商品や新規事業の効果検証が可能だ。
伊勢市初の日本マイクロソフト(MS)の拠点も併設し、技術的な支援も提供する。
ゑびやは飲食店と土産物店を展開する老舗企業。小田島社長が2016年に経営を引き継ぎ、人工知能(AI)による来店予測や自動発注システムを活用したDXで事業構造を変えた。同社は今後、観光地を中心にDX拠点を展開する構えだ。(津)
日刊工業新聞2022年6月9日