ボディー・足回り部品へ…トヨタ系部品メーカーが事業の軸足移す、EV時代へ一手
フタバ産業は電動車の普及拡大に伴い、これまで得意としていた排気系・燃料系部品からボディーや足回り部品へ事業の軸足を移す。2022年3月期でも、自動車メーカーからの支給品を除くと既に売上高の56%がボディー関連だ。中長期でカウルやピラー、インストルメントパネル(インパネ)などボディー部品を総合して企画・開発・生産することで、図面通りに生産する事業から脱却。収益力や付加価値を高めていく。
同社は長期の経営課題の一つに電気自動車(EV)の普及を挙げる。主要取引先のトヨタ自動車は30年にEVの世界販売台数を350万台、35年には高級車ブランド「レクサス」の全てをEVにする計画だ。フタバ産業はEV化により、30年に売上高が300億―350億円減少すると想定。これをボディー部品の拡大などで補う。
一方、30年でも純粋なEVは世界の総需要の3割程度とみられ、「ハイブリッドなど内燃機関を持つ自動車が7割。EV化は限定的」(吉貴寛良社長)。排気系部品の標準化を進めシェア拡大に継続して取り組む構えだ。既存部品では車種に合わせ個別のマフラーを製造しているが、標準モジュールの作成・組み合わせで多様な車種に対応する。
長期戦略を実現するため、25年3月期を最終年度とする中期経営計画も策定。稼ぐ力を強化し、25年3月期の営業利益率を5・0%(23年3月期予想は2・6%)まで引き上げる。フリーキャッシュフローも150億円に増やす。プレス工場の岡崎工場(愛知県岡崎市)の生産を効率化するほか、六ッ美工場(同岡崎市)や幸田工場(同幸田町)ではボディーや排気系のラインを集約し、稼働率90%以上を目指す。
デジタル変革(DX)も加速する。次期社長に内定した魚住吉博取締役執行役員は「DXはモノづくりの構造改革のスピードを上げるツール」と期待。自動化や無人化、リードタイムの短縮、工場の集中管理などを推進する。