生保の枠にとらわれない、第一生命が「まちづくり」に挑む理由

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東京都世田谷区の福利厚生施設を活用したまちづくりのイメージ。地域に開放し、多様な事業者と協業して社会課題の解決を進める

企業ビジョンに「安心の先にある幸せへ。」を掲げる第一生命保険。生命保険の枠にとらわれない体験価値を日常的に提供して契約者のQOL(生活の質)向上に挑むなど、最良を追求した変革を続けている。足元では生保会社でありながら、本格的なまちづくりを開始。地域を含めたステークホルダーの幸せを演出する同社の戦略を体現・発信する。

まちづくりの舞台は東京都世田谷区にある「第一生命グラウンド」。敷地面積は東京ドーム2個分に相当する9ヘクタールに上る。利用者の減少に伴い2017年頃から土地の売却を含む複数の議論が交わされたが「長期保有してきた資産を生かした第一生命らしいプロジェクトをしよう」(稲垣精二社長)の声もあり有効活用を決めた。

全ての完成時期は23年3月を予定。完成後は広く開放し、多様なパートナーとの協業によって社会課題の解決に貢献する。Mellow(東京都千代田区)とはキッチンカーを活用した買い物の利便性向上や子ども食堂の開催を予定。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標に合致した取り組みを各事業者と進め、好事例は全国に展開する。

9月に創業120周年を迎える第一生命は「みんな」「地域」「地球」の3つの幸せに貢献する(プロジェクトのビジョンマップ)

まちづくりの特徴は、意図的に多世代が集う仕組みの採用にある。学生寮やファミリー向け分譲マンション、高齢者向け住宅を各区画にバランス良く配置。合田真執行役員経営企画部長は「さまざまな世代との今風のつながり方がコアビジネスでも課題。その糸口を実際のコミュニティー作りにも貢献しながら発見したい」と、各種イベントなどつながれる場を創出することで、そのヒントを探る。

まちづくり自体の持続可能性にもこだわりを持つ。企業の社会的責任(CSR)の側面だけでは、将来に土地活用の方向性が見直される余地が大きい。そこで賃料収入により不動産事業として成立させている。まちづくりは創業120周年プロジェクトの目玉だが、周年行事として一過性ではなく企画自体にも持続可能性を担保している。

日刊工業新聞2022年2月1日

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