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セラミックスで「静電気」を可視化する、産総研の新技術が面白い

セラミックスで「静電気」を可視化する、産総研の新技術が面白い

セラミックス樹脂フィルムが静電気で光る(産総研提供)

産業技術総合研究所の菊永和也研究チーム長と寺崎正研究チーム長は、静電気で光るセラミックスを利用した可視化技術を開発した。静電気分布を緑色の光として見える化する。粉末を塗布すれば自動車やドローン(飛行ロボット)などの静電気をリアルタイムに把握できると期待される。

ユーロピウムを導入したアルミン酸ストロンチウムを利用する。この物質は蓄光材として働き、紫外線や青い光を吸収して欠陥準位に電子を捕捉してエネルギーを蓄える。静電気によって電荷が動くと、蓄えられたエネルギーが活性化されてユーロピウムから緑色の光として放出されると考えられる。

アルミン酸ストロンチウムの樹脂フィルムにコロナ放電で電荷を注入すると、注入点から光の輪が広がるように発光した。静電気を蓄えたパイプに人の指を近づけると、指の動きに沿って光が移動する様子が撮影できた。

粉末の粒径は数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)で、電源がなくても静電気を検出できる。塗布することで電機製品表面の静電気分布を3次元に捉えられる。連携企業を探して社会実装を進める。

日刊工業新聞2022年6月3日

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