UBE三菱セメントが仕上げた“理想のオフィス”の全容

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新本社は統合会社としての「融和・融合」と働き方改革を重視。

UBE三菱セメントが4月の発足に合わせて仕上げた新本社が、統合効果の創出に一役買っている。2020年から“理想のオフィス”を追求し、毎日の座席を抽選で選ぶ仕組みやベンチシート、業務可能な食堂などを整備。コロナ禍で常態化した在宅勤務に対応し、最新のウェブ会議システムも導入した。強固な組織力を育み、新会社の存在感をもう一段引き上げる。(堀田創平)

UBE三菱セメントは、UBEと三菱マテリアルのセメント事業を統合して誕生した。売上高は約5000億円で、太平洋セメントに次ぐ国内2位だ。従業員は当時の宇部興産と三菱マテリアルがセメント販売・物流部門を先行統合した「宇部三菱セメント」や母体2社のセメント製造部門、コーポレート部門などあらゆる組織から集まっている。

このうち、東京・内幸町の新本社では2フロアで約400人が働く。新本社の立ち上げに携わった総務部の安藤晋主幹は「実はまったく知り合いがいないという人や、そもそもセメント事業の経験がない人も多かった」と打ち明ける。そこで取り入れたユニークな試みが、従業員同士の偶発的なコミュニケーションを促す「座席抽選システム」だ。

まず、執務フロアは部署ごとが緩やかに集まるグループアドレスを導入。30人程度の単位で座る範囲を決め、対面でのコミュニケーションを確保した。その上で、一般的な机とソファ席、6人がけベンチシートの3種類から、その日の業務や気分に合わせた場所を二つまで選択できる。抽選を経て、その日に座る席が“指定”される仕組みだ。

このシステムに対して、従業員からは「近くに座った人同士、何げない会話が生まれやすい」と好意的な声が挙がる。日常業務の中で、新たな気付きにつながる効果も出ているという。フロアには会議の可視化を狙ったガラス張りの会議室や1人用ブース、ウェブ会議ブースなども用意。チームワークを重視しながら、業務に合わせて最適な場所を選べる環境を整えた。

もう一つ効果を上げているものが、在席状況などを把握できる位置情報システムだ。今も半数が在宅勤務ということもあり、オフィス勤務と併用する際に生じやすい「報告・連絡・相談がスムーズにいかない」課題の解消に役立っている。顔写真が表示されることも好評。コロナ禍の危機管理として、従業員の行動を追跡するような使い方も可能だ。

新本社は旧3社の若手が中心となり、20年にあり方を決めるワークショップが始動。新会社が掲げる「融和・融合」という基本方針と働き方改革への取り組みを意識し、コンセプトを「クリエイトシナジー」に決めた。担当者は「コロナ禍で対応を迫られた新しい働き方と、融和・融合というテーマをどう両立するかにこだわった」と振り返る。

新本社で志向するのは、効率的かつ自律的なチームワークとソロワークの促進だ。現時点で導入したハード・ソフトはいずれも高い稼働を保っており、課題は見えていない。安藤主幹は「まずは、部署の内外で活発なコミュニケーションが生まれるきっかけになれば」と期待を示す。23年春をめどに、効果を検証する予定だ。

日刊工業新聞2022年5月25日

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