宇部興産、「電解液材料」の工場を北米に新設する狙い

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宇部興産の泉原雅人社長

宇部興産は、2025年に米国でリチウムイオン電池(LIB)用電解液や、多様なファインケミカル製品の原料となるジメチルカーボネート(DMC)の新工場を建設する。生産能力は年産10万トン規模。投資額は今後詰めるが、大型投資となりそうだ。北米のLIB関連企業はDMCをアジアからの輸入に頼っており、現地生産のニーズは高い。同社は同時期にDMC誘導品の工場も建設する計画で、化学品需要が堅調な北米で事業拡大を図る。

新工場は、21年の早い時期に最終的な投資判断を行う。すでに候補地を絞っており、25年初頭からDMC原料の一酸化炭素(CO)を調達できる見通しは付いているという。

北米でもガソリン車から電動車へのシフトに伴い、電解液材料のDMCの需要は増えている。現在、DMCの多くは中国で生産されており、米中対立が続く中で米国生産を始めれば、訴求力は高い。

宇部興産はDMC工場の稼働から時期を空けず、誘導品としてポリカーボネートジオール(PCD)の生産を始める。環境対応品のニーズが高まっており、PCDは水系塗料などに使われるウレタンの原料として引き合いが強い。

同社は日本とアジア、欧州にファインケミカルの拠点を持つものの、北米は空白地帯で拠点新設は重要課題だった。

同社は22年4月に三菱マテリアルと両社のセメント事業を統合する計画で、化学セグメントの収益性や成長性が一層問われる。全事業で機能性の高い付加価値製品への転換を推進し、景気変動に強い筋肉質な企業を目指す。

日刊工業新聞2020年12月15日

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