実現困難だった事例も生まれた…SOMPOホールディングスの人事制度改革
SOMPOホールディングス(HD)はグループ社員のやりがいや生産性向上を目的に働き方改革を加速している。2020年4月に導入したジョブ型人事制度はその一つで、完全公募制によるジョブ型雇用を21年4月から部長ポストに導入。22年4月からは課長ポストにも拡大する。30代前半の課長誕生など従来の人事部の配置では実現困難だった事例も生まれている。
原伸一グループ最高人事責任者(CHRO)執行役専務は「会社依存型から脱却すべく、ジョブ型人事制度と『MYパーパス』の追求を並行している」と話す。21年にはデジタル事業を新設するなど幅広い事業展開で顧客から真に必要とされる企業へ転換している。
ただ、転換にはイノベーションの創出が必要と認識。「上意下達の働き方でなく社員一人ひとりが自律・自走する。さまざまな価値観を持った者同士のグッドクラッシュが不可欠」(原グループCHRO)と考える。同制度では、各職務に必要な専門性などが明確化されるため、自律的キャリアにつながると判断した。
立候補は現在の年齢や役職などを不問で実施。全社員が自身にチャンスがあると「自分事化」して捉えられるようにした。22年4月の課長ポストの事例では対象ポスト61に対して約150人の応募があった。合格者の25%は現在管理職未満の社員で30代前半の課長誕生と同様にジョブ型ならではの結果が出ている。
同社は「ミッション・ドリブン」「プロフェッショナリズム」「ダイバーシティ&インクルージョン」の三つのコアを持つ人材集団を目指しており、「(その実現に)期待する効果が発揮されている」(同)と評価。今後、SOMPOグループでの拡大を各事業の特性を鑑み検討する。
日刊工業新聞2022年4月5日