介護サービス利用者の3か月後の体調を予測するアプリの仕組み
SOMPOホールディングス(HD)は、介護サービス利用者の長期の体調を予測するアプリケーション(応用ソフト)を開発し、介護施設での試験運用を始めた。介護サービス利用者の過去の実績などを分析することで「3カ月後の健康状態の予測」「1年後に遷移しがちな状態」などを職員に提示する。将来の状態を予測することで予防やケアマネジメントサイクルの最適化につながる。今後、アプリを介護事業者に外販することを目指す。
SOMPOHDは、出資する人工知能(AI)開発のABEJA(東京都港区)や米データ解析大手のパランティア・テクノロジーズなどと連携し、介護データを用いたアプリの開発を進めている。これまでに、睡眠時間や心身機能、服薬情報など、さまざまなシステムに散在するデータを分析して一覧で見える化する機能や、優秀な介護職員のノウハウを形式知化する機能などを搭載したアプリを開発。介護事業子会社のSOMPOケア(同品川区)が運営する施設に試験導入し、有用性を確認している。
今回、新たに開発した「長期体調予測アプリ」は、活動機能、認知機能、栄養状態の各スコアをそれぞれ分析し、そのスコアを基に健康状態の総合スコアを算出する。3カ月後の健康状態も予測できる。
さらに過去の実績から、介護サービス利用者が1年後に変化する傾向がある状態を提示。認知機能や日常の意思決定、居室内移動などの変化をみる。また、食事や起き上がりなど、将来悪化しやすい活動機能や悪化防止に効果があった介入内容を確率で表示する。
これまで介護サービス利用者の体調管理は、インシデントや事故が発生してから対処することが中心だった。同アプリを使用することで早期の対策、改善につながる。
同HDが外販を目指すアプリは、長期体調予測のほか、主治医説明支援や改善提案支援アプリなど20―30程度を想定する。
同HDは21年に介護や防災などの分野で集めたデータを活用し、ソリューションを提供するRDP(リアルデータプラットフォーム)事業を開始。5000億円規模まで伸ばすことを目標にする。