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かゆい皮膚をかくとさらにかゆくなる仕組みが解明された

九州大学の津田誠主幹教授らは、かゆい皮膚を繰り返しかくことでさらにかゆみが増す仕組みを解明した。皮膚炎のマウスを調べると、かゆい皮膚を繰り返しかくことで皮膚と脊髄をつなぐ神経内に神経活動を高める分子が増加することが分かった。脊髄でかゆみに関する神経活動が活発化し、より強いかゆみが起きる悪循環となることを明らかにした。アトピー性皮膚炎などで生じるかゆみに有効な治療薬の開発につながると期待される。

岡山大学と米ジョンズ・ホプキンス大学との共同研究。英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。

何回も繰り返し皮膚をかく皮膚炎にかかったマウスを作製。同マウスでは、皮膚からかゆみの情報を脳へ送る脊髄神経が活発化していることが分かった。一方、マウスの爪を切り揃え皮膚への刺激を抑えると、神経活動の高まりを抑制できた。

さらに皮膚と脊髄をつなぐ感覚神経で増えるたんぱく質「NPTX2」がかゆみの神経活動を高める原因であることを発見。NPTX2をなくしたマウスではかゆみを抑えられることを見いだした。

アトピー性皮膚炎などによる慢性的な強いかゆみは皮膚をかくことで炎症が悪化し、より強いかゆみを引き起こす。2017年の厚生労働省データでは、日本でのアトピー性皮膚炎の患者数が51万人に到達。抗ヒスタミン薬などのかゆみを抑える一般的な医薬品では十分な効き目が得られておらず、新たな治療法が求められていた。

日刊工業新聞2022年5月10日

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