着衣型心電図測定システムで心房細動を早期発見!かぶれ、かゆみも減少

  • 1
  • 0
ヒトエウエアラブル心電測定システムの専用ウエアと専用小型心電計

東レは、生体の電気信号情報を伝達できる機能素材「hitoe(ヒトエ)」を活用した着衣型心電図測定システムを展開している。不整脈の一種である心房細動の検査用途で使われており、長時間着用しても皮膚への刺激が少なく快適に装着できる。心房細動は測定時間が長くなるほど検知率が高まるため、早期発見や医療現場の効率化が期待される。

脳梗塞に発展も

心房細動は、心房の拍動数が1分間に300回以上になり、速く不規則に動いてけいれんしたように見える不整脈の一種。日本脳卒中協会などによれば、国内に100万人を超える心房細動患者がいるとされている。

ライフイノベーション事業戦略推進室の杉原宏和主幹は「潜在的には180万人いるとも言われている」と説明する。加齢とともに起こりやすく、高齢化が進む日本ではさらに増加するとみられる。

心房細動の危険性は、脳梗塞に発展する可能性がある点だ。心房が不規則に動くと血液の流れが滞り、血栓と呼ばれる血液の塊が脳に移動して脳血管が詰まってしまう場合がある。「心房細動の患者は脳梗塞発生リスクが2―7倍に増加するとの研究結果もある」(杉原主幹)という。

この心房細動を発見するための医療機器が、ヒトエを用いた着衣型心電図測定だ。着るだけで最大2週間無充電で連続測定できる。ウエアに取り付けた電極と専用リード線、専用小型心電計を合わせたシステムを2018年に発売した。

ウエアの内側にヒトエ素材を用いた医療用電極3枚と、専用リード線が取り付けられている。電極で検出した心電信号を、専用リード線で心電計まで導出する。心電計と解析ビュアーは医療機器の製造販売を手がけるメハーゲン(福岡市博多区)と共同開発した。着用者のサイズに合わせて適正な着圧が保てる調整機能も付加した。

現状の心房細動の検査方法は、携帯型の心電計を24時間程度装着するホルター心電図検査が主流となっている。同方法では、電極を胸部に粘着剤で固定するため、かぶれやかゆみなどの皮膚トラブルを引き起こす可能性に加え、検出率は2―5%程度にとどまる。

症状が間欠的

初期段階の心房細動は発症頻度も少なく、症状が間欠的で発見が難しい。長く測定するほど検出率が高まることで知られ、長時間快適に計測できる手法が求められていた。

東レとNTTが共同開発したヒトエは、ポリエステルナノファイバー生地に高導電性樹脂を含浸させてより肌に密着するよう作られた機能繊維素材。14年にスポーツやトレーニング用途として市場投入し、現在は建設現場などで作業者の体調変化を監督者に知らせる見守りサービスも展開する。

筑波大学付属病院では18年から、アブレーションカテーテル手術後に再発していないかを確認する臨床研究が行われ、同システムを活用している。最初の検査以外に、薬剤治療後や手術後の効果確認としても使用されるケースもある。杉原主幹は「今は臨床的に有用な製品であることを証明している段階にある」とし、今後も大学などとの連携を計画している。(大阪・新庄悠)

関連する記事はこちら

特集