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2050年に事務従事者は4割減る、経産省が労働需要を試算

経済産業省は、2050年における労働需要の試算をまとめた。職種別で見ると、事務従事者が20年比4割減となる一方で、情報処理・通信技術者は同2割増と明暗が分かれた。デジタル化、脱炭素化の世界的潮流に伴い、求められる能力が変わり、産業を構成する職種のバランスが大きく変化すると分析。産業界と教育機関が一体となった人材育成が必要だと提言している。

経産省の「未来人材ビジョン」の中間取りまとめで示した。まず56の能力について、デジタル化や脱炭素化を受けて需要の度合いがどのように変化するかを、世界経済フォーラムのリポートなどを基に推計。現在は「注意深さ・ミスがないこと」や「責任感・まじめさ」が重視されているが、将来は「問題発見力」や「的確な予測」、新たなモノやサービスを生み出す「革新性」が求められるという。

次に、デジタル化と脱炭素化が進展し、高い成長率を実現している「高成長シナリオ」と、高い成長率を実現できていない「低成長シナリオ」を設定。能力の需要度合いを加味して、20年と50年における労働需要変化を試算した。高成長シナリオで職種別の結果を見ると、事務従事者が42%減、販売従事者が26%減となった一方で、情報処理・通信技術者は20%増、開発・製造技術者は11%増となった。

職種別の変化を相対的に見ると、農林漁業従事者が53%減、建設・採掘従事者が35%減、事務従事者が32%減となった一方で、生産工程従事者は23%増、専門的・技術的職業従事者は19%増、サービス職業従事者は14%増となった。人工知能(AI)やロボットで代替しやすい職種では雇用が減少するが、代替しづらい職種や技術開発を担う職種は増加すると分析する。

日刊工業新聞2022年5月4日

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