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アカンパニーが拡大狙う「秘密計算」事業の中身

Acompany(アカンパニー、名古屋市中村区、高橋亮祐社長)は、個人情報を含むデータを暗号化した状態で処理できる「秘密計算」の事業を海外で展開する。エストニアに現地法人を設立し、欧州の一般データ保護規則(GDPR)に対応した事業を構築する。プライバシー保護関連の規制が世界で強まる潮流にあり、データの活用を前提とした産業が影響を受ける可能性が高いとみて、秘密計算事業の拡大を狙う。

5月上旬にエストニア拠点を設置し活動を始める。GDPRに対応した技術開発を進める。数人のスタッフを日本から派遣し、現地企業に対してプライバシー規制で発生する事業課題の調査も行う。

アカンパニーはマルチパーティー計算(MPC)と呼ばれる技術が強み。データを多数の断片に分割して無意味化し、それを複数のサーバーに分けて計算する手法だ。データの中身を保護しながら分析するため、複数の企業と安全かつ円滑にデータ分析できる。

欧州連合(EU)が2018年に施行したGDPRを機にプライバシー保護の動きが強まり、インターネット産業は苦境を強いられている。ヤフーは「対応コストの観点からサービス継続が困難」として欧州からの撤退を表明し、米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)も撤退を示唆した。

米調査会社ヴェリファイドマーケットリサーチは、個人のプライバシーを保護する「プライバシーテック」の世界市場が27年に19年比約3倍の2億5752万ドルに成長すると予測している。

日刊工業新聞2022年4月28日

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