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AIで運転者の認知監視するイスラエル社の技術、日本メーカー採用なるか

AIで運転者の認知監視するイスラエル社の技術、日本メーカー採用なるか

将来、運転者が不要となる自動運転でも事業展開が期待できる(イメージ)

イスラエルのコアアクションズ(CorrActions)は、運転者の認知状態を常時モニターする独自技術について、日本の自動車会社と商談に入ったことを明らかにした。脳科学の知見と人工知能(AI)アルゴリズムを応用。体の動きから眠気や疲労、飲酒の有無、健康状態、ストレスレベルをリアルタイムに検出し、交通事故につながる人為的ミスを事前に回避するのに役立つという。

コアアクションズの技術ではカメラや被験者側でのセンサー装着が不要。運転者や同乗者の体の動きを計測するセンサーを車のハンドルやシートに埋め込む。測定データは車載デバイス、あるいはクラウド側のAIで分析する。

取材に応じたツビ・ジノサー最高経営責任者(CEO)は「カメラによる競合技術に比べ、早い段階で正確に認知機能の状況をモニターできる」と説明。すでに米国と、日本を除く極東地域の車会社では試験運用段階という。

日本では完成車およびティア1・ティア2(1次・2次部品メーカー)計4社と商談中。国内電子メーカーとは運転者の脚の動きを検知するシートのプロジェクトを1年前に立ち上げ、開発を進めている。

一方、車以外の分野ではイスラエル空軍がパイロットの疲労診断テストに適用済み。さらに工場の生産ラインや遠隔操作、手術ロボットに携わる人間の認知機能の管理のほか、ヘルスケア、リハビリ、eスポーツなどへの応用も見込む。

ジノサーCEO(同社提供

将来、運転者が不要となる自動運転でも事業展開が期待できるという。「搭乗者の車酔い自動検知や温度調整、音楽やオンライン販売での好みの予測といった車内でのデータ駆動型サービスへの応用が考えられる」(ジノサー氏)と展望する。

日刊工業新聞 2022年4月25日

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