期待外れ!?、ホンダのEV戦略でカギ握る3つの要素

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ホンダのEV「HONDA e」

ホンダが2040年の“脱エンジン”を宣言してから1年。具体的な電気自動車(EV)戦略をようやく発表した。ただ「2030年までにEV30車種投入、年産200万台超」との目標にサプライズは少なく、市場では期待外れだとの反応も見られる。一方、ソフトウエア領域、全固体電池、アライアンス(提携)に関して野心的な姿勢をみせた。ホンダがEVで巻き返すには、これら三つの要素がカギを握る。(江上佑美子)

「電動化時代にもホンダならではのこだわりを持った特徴ある商品に仕上げたい。期待してほしい」。12日の電動化戦略発表で三部敏宏社長はこう胸を張った。

三部社長は21年4月の就任直後、EVと燃料電池車(FCV)の販売比率を40年に世界で100%にする目標を掲げた。しかし12日までの約1年間、グローバルの電動化に関する具体的な戦略は示されず、ホンダと取引の多いサプライヤー幹部からは「脱エンジンは明確な戦略を持って表明したとは思えない」との声が上がっていた。

そうした中、脱エンジンへと至る道筋として、満を持して12日に公表されたのが電動化戦略だ。しかし30年目標について東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「トヨタ自動車などの“後出し”の割には無難な数値」と話す。 

実際、12日のホンダの株式の終値は前日比5円安の3229円とマーケットの反応も今ひとつ。杉浦シニアアナリストは「どのようなクルマを出したいのかが見えない点で、インパクトに欠ける」と評する。

ホンダがEVで存在感を示すための、巻き返しのポイントとなるのは、「ソフトウエア」「全固体電池」「アライアンス」の三つだ。

「製品単体に留まらず、さまざまなホンダ製品がつながることで価値を提供できる。これがホンダの強みであり私たちが目指す姿」。電動化戦略を担う青山真二執行役専務は12日に開いた説明会でこう説明した。ソフトを無線通信経由で更新するOTA(オーバー・ジ・エア)などを活用し、“買った後も進化し続ける”クルマで他社との差別化を図る方針を示した。

EV性能の差別化のカギを握る電池については、「コストや安全面での優位性を確保する」(青山執行役専務)ため、24年春には全固体電池の実証ラインを稼働。20年代後半の投入モデルへの採用を目指す。

ホンダが開発中の全固体電池

電動化には巨額の投資が必要となる。かねて体質改善が課題となっている4輪車事業にとっては重荷になる。その解の一つとなるのがアライアンスだ。5日には米ゼネラル・モーターズ(GM)との協業を世界に広げ、量販価格帯のEVシリーズを共同開発すると発表した。電池やプラットフォーム(車台)を共通化しコストを抑える。

ただ、現段階で三つのポイントともに計画に具体性が乏しい面があることは否定できない。

また東海東京調査センターの杉浦シニアアナリストは「GMとの提携に寄りかかりすぎるのはリスクが高い」と指摘している。ホンダが進む電動化の先の視界不良は、まだ完全には解消されていない。

同業・異業種との競争激化

ホンダの発表で日系大手自動車メーカー3社の電動車戦略が出そろった。トヨタ自動車は30年までにEVの開発や生産に4兆円を投じ、世界で30車種のEVを投入。EVの世界販売台数を350万台に引き上げる。日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の3社連合は26年度までに約3兆円を投じ、30年までに35車種のEVを投入する。

IT企業など異業種からの参入も相次ぐ。米半導体大手のインテルは中国の完成車メーカーなどと共同で、自動運転技術に対応したEVを24年に中国で発売する方針。新興勢力の課題となる量産では、台湾の鴻海科技集団がEV生産に乗り出すなど受託製造の枠組みもできつつある。

一方、ホンダはソニーグループと3月にEV事業で提携すると発表。22年内に共同出資会社を設け、25年に両社で開発したEVの発売を予定する。青山執行役専務は12日の会見で「ソニーとの共同事業はホンダとしてのラインアップとは一線を画す」とした上で「そこから生まれた先進のソフトウエアやエンターテインメントなどの新しい価値はホンダの商品開発にも取り入れたい」との考えを示した。

日刊工業新聞2022年4月13日

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